文具コーナーによくある「試し書き」を覗いたら面白い世界があった。
ここは無印良品。先日購入した卓上ファンが初期不良だったので交換に来ている。
動かないファンを仕様と言い張る店員と「不良と仕様の狭間」をネゴシエートして、たまたま思いついたセリフ「この店に無印良心は無いのか?」を言いたかったけど、文字にしたらまだしも言葉で発しても微妙なのでやめておいた。
無事に交換は済み、消耗した私は店内を歩く。そんな私が気になるコーナーを見つけた。
「試し書きコーナー」だ。
ペンの書き心地を確かめる場所なんだけど、人それぞれな試し書きや落書きがあって見ていて興味深いのだ。
特にこの「試し書きコーナー」はノートが複数設置されていて、他店より多く試し書きが見られる。人の思いつきとメッセージが素直に書かれてる試し書きノート。それをペラペラとめくっていると何となく傾向が見えてきた。
・みんなドラえもん書きがち
ドラえもんは丸が多用されているので書いていて非常に筆が楽しくなる。筆にも語呂の良し悪しがあるとしたらドラえもんは間違いなく語呂の良いグループになる。
しかし試し書きで書くドラえもんは大体うろ覚えなのでコレジャナイ状態なのだ。
試し書きのドラえもんから漂うコレジャナイ感。
帽子かぶってる奴なんかどちらかと言うと「うまい棒」の「うまえもん」だし、右の2人は「ねずみ男」の亜種だ。みんなあんなにドラえもん観ているのにどうしてこうなってしまうのか?答えは簡単、なんとなく見ているからに外ならない。
漢字だってそうだ。「読めるけど書けない」のはこの現象に陥っているからだ。絵が上手い人、漢字が得意な人は「見るチカラ」が長けている。見るチカラ…悪魔と契約してでも欲しいな。
・アンパンマンも書きがち
ドラえもんより若干シンプルで書くのに物足りないのが次点の理由かもしれない。あんなドラえもんを書くんだったらまずはアンパンマンをマスターするべきだ。
このページにはアンパンマンの仲間も書いてある。しかしよく見て欲しい。しょくぱんまんとカレーパンマンの顔がアンパンマンになっている。概念の暴走を見た。
顔より下の暴走も見かけた。アンパンマン…悪魔と契約した?
これは・・・
完全にアイツだな。
会社の同僚がアニメを子供と観ていたら、後日このポーズで保育園の写真を撮ってきたと言っていてアニメの影響力に震えた。
・交流が生まれている
顔も知らない他人との交流が生まれていた。この絵は投票を呼び掛けている。同点なのは人の優しさか。
質問に対して答えてる。どこかの知恵袋みたいだな。短文で答えるのがここでの流儀。
「俺の方がうまい」に続くように描かれてる「いやぼくだね」のコジコジ。そして掴む男。シチュエーションは謎だが、落書きにそれを求めても野暮だ。落書きのリレーが生まれている。
私もやってみたくなったぞ。試し書きコーナーで交流。
もうちょっとカッコよく言おう
「文具コーナーの試し書きでコラボしたい」
これは会社で私が書いたドラえもんだ。ヒゲが無いのはスルーして欲しい。注目は手足をあえて書いてないところだ。
これを試し書きコーナーに書いて数日か数時間後に見に行って誰かに付け足されないか検証してみる。
例えばこんな感じ。クオリティは求めない。今回求めているのは顔も知らない誰かとの交流だ。コラボレーションだ。
ノートにいくつか書いてみる。
モジャモジャ頭の横に失礼して顔だけのドラえもんを書いた。
「体を描いてね!!」のセリフで他人の落書き欲を誘ってみる。みんな大好きドラえもん。きっと誰かが書き足してくれるハズだ。
お題「こんなシャーペンは嫌だ」。
大喜利もやってみる。人が多い店内でコソコソ書いたので雑だ。はたして気付いてもらえるだろうか。
あとはじっくり待つのみ。仕掛けを設置して獲物がかかるのを待つ。気分は漁師か鉄腕ダッシュのメンバーだ。
(この大喜利の手法は電気バチさんの記事を参考にしました)
その間に他の文具店の試し書き事情を調査してみた。
・基本は「あいうえお」
これぞ試し書き。人は文字をとっさに書くと慣れ親しんだ「あいうえお」に回帰する。この現象は海を渡った外国でもあるのだろうか。アメリカは「ABCDE」と書くのだろうか。中国や韓国だとどうなるかな?すごく気になる。
仕上がってんな。
・草生やすwww
ジグザグと書く。日本人はネットでも草生やすしリアルでも草を生やす。
これもさっき言ってた「文字に語呂があるとしたら」で考えると、間違いなく語呂の良い文字だ。書いていて気持ち良いwww
通常の文具コーナーは無印良品のようにノートが数冊あったり試し書きスペースが大きくはない。
無印良品の試し書きコーナーは貴重だったんだな。
LOFTも調査してみる。これがちょっと意外な結果に。
誰も書いていない。純白の試し書きコーナーがそこにはあった。
こっちも。どうやら毎日この紙を張り替えているみたい。これだと交流はおろかコラボも困難だ。
無印良品の試し書きコーナーはサンクチュアリだったんだな。
唯一あった試し書き。
無印良品に戻ってきた。さて、どうなっているかな?
おっ!?
コラボ成功である。
雑に書いたドラえもんに宿るボディは同じく雑だ。思ってたよりもスリムな体が書かれていた。良い。いいよこれで!嬉しくてニヤけた。ひとつ気になるんだけど乳首書いてない?そういう秘密道具なのかな?
大喜利の方は殺伐としていた。ボケる訳でもなく、スベっている訳でもなく、ただただお題を出した私に対しての「嫌悪」。
じわりと汗が。初心者が踏み入れてはいけないジャンルだったのかもしれない。
獲物が獲れた漁場にもう一度仕掛ける。人の性だな。業かもしれない。
今度の仕掛けはドラえもんと互換性のあるコロ助にしてみた。私にレパートリーは無い。
大喜利でひどい仕打ちにあったので今回はアンケートしてみた。これにボケるかガチ回答するかはその人に任せる。
ーーー結果は以下です。
モザイク入りの体が書かれていた。
「体を描いて」とあったら書いてしまうもんなんだな。みんな優しい。雑だけど。
アンケート結果。
回答ありがとうございます。だけどね、回答にひとつも県がなかった。東京都、大阪府、京都府…これ書いた本人5位書く時それに気付いて「ワァーー!!!今の無しで!!」ってなってるやん。
最後はカオスなドラえもん。命名「カオスもん」。
なかなかのセンスの持ち主だ。是非この人とコラボしたい。だけどこの作品はもう完成されている。私が手を加えていい代物ではない。いつかまたこのノートで出会った時にコラボしたい。今はそれでいい。
無事コラボは成功した。
ただし他の文具コーナーを観察して気付いたことだが「十分な試し書きスペース」と「試し書きが消されないしばらくの猶予期間」この二点が揃わないとコラボは成功しない。もうひとつ挙げるとしたら「人がコラボしてもいい雰囲気とその場のノリ」も重要になってくると思う。
試し書きコーナーには「合法グラフィティのような文化」が生まれていると感じた。
これからも観察したい。
十分楽しんだのでノート買った。
おしまい


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