土地と土地の境界線付近に建つマンション、境界線ハイツにはどちらの地名が付けられているのか。東京と埼玉の境界線、成増と和光で調査してきました。
「東京ディズニーランドは千葉にある」「東京ドイツ村って東京でもドイツでもないよな」などというネタは誰しもが耳にしたことがあると思う。地名というものはいいかげんなもので、その方が聞こえがいいと判断されれば千葉も東京になるし、ドイツも村になる。
実はこの地名がジャンプする現象はディズニーランドのような大規模な施設だけで起こるものではない。マンションの名前も実際の地名とは違ったものが選ばれるケースがあるのだ。
つまりこれは地名の相撲である。
境界線近辺にあるマンションの名前にどちらの地名が選ばれているかで、その地名の強さがわかる。今回の対戦カードは「成増 対 和光 」だ。
まずは地図で確認。紫のラインが東京と埼玉の県境だ。川を挟んで東西に成増、和光となっている。東にある店舗は「成増店」、西側にある店舗は「和光店」と表示されている。
境界線が川と少しずれているのが気になった。
古地図を見てみると、どうも整備される前の蛇行していた川の位置が現在も境界線として残っているらしい。川のほとりに住んでいた人は、急に「川の位置を変えるから引っ越してください」と言われたときにどんな気持ちになったんだろう。
現地に到着。「これより彩の国」という表示が緊張感を煽る。
和光市と成増の境界線になっている川は白子川という名前らしい。少し前にどこかの川が一級河川から二級河川に格下げになったというニュースを見た。白子川にはそういうことがないように頑張ってもらいたい。
川を渡ると住所表示も和光市になっていた。和光市のマークはキャプテンファルコンに似ている。
近くのマンションの名前を確認する。和光パーク・ファミリア。和光市にあるので当然名前も和光が使われていた。
メイツ和光。オシャレだ。
オシャレなマンションの脇には「犬の糞 禁止」のペットボトルがあった。KIRINのペットボトルなので午後の紅茶のボトルだろうか。
ペットボトルを嫌がるのはネコのはずだし、それも実際は効果がないと聞いたことがある。犬のおしっこを流す用の水だろうか。糞には厳しいのに尿にはやさしい。二面性がある。
再び川を渡り成増側に戻る。マンションの名前を確認すると「リバーサイド成増」とあった。成増の川沿いにあるのでリバーサイド成増。わかりやすい。ゆかいなダイアモンドだからダイアモンドユカイ、それくらいわかりやすい。
しかし実はここは成増ではない。川の東側にあるのだけど、住所表示が和光市白子となっている。和光にあるのに成増と名乗っている。つまり成増が先にポイントを取った。
さらに進むと成増病院があった。ここも実際の住所は和光市にも関わらず成増と名乗っているパターンかと思い確認のために近くまで移動する。
病院手前にある該当の表示が板橋区だった。成増は板橋区である。地図でも確認すると、ちょうど病院の手前の道が境界線になっているらしい。もし東京と埼玉が開戦したらこの道の向こう側の市民は成増病院で治療を受けられなくなってしまう。
病院を背にして撮影した。この道の向こう側は和光市で、手前は成増だ。
先ほどの写真に映っていたマンションの名前を確認しよう。「セザールデュオラック成増」ここも正確な地名は和光市なので、成増にもう1ポイント入る。
ちょうど境界線上にある公園の物置、屋根のるなという簡潔な注意書きがあった。低い物置と高い物置が隣り合っているので簡単に登れてしまう。もう東京と埼玉が開戦したらここの守りを固めないと攻め落とされてしまう要所になるだろう。
川沿いに北上していくと商店街があった。成増北口商店街。
当然ながらここにあるマンションの名前は成増だ。
ローソンの店名も成増北口通り店である。
商店街の先にある橋を渡って和光市側に移動してみる。
「レクセル成増」かっこいいマンションだが、表示されている地名は埼玉県和光市だ。成増3ポイント獲得。これにて決着である。
3ポイント先取というルールは決めていなかったけれど、まあこれくらいがちょうどいいでしょう。成増対和光の勝負は、3対0で成増の勝利となった。
おまけ
川沿いを走っていたらポテトチップスでおなじみの湖池屋があった。
地図で確認したらかなりいびつな境界線になっていたので、なんらかの事情がありそう(湖池屋側が板橋区成増)。
おまけ2
成増の駐車場で見た、駐車場のデッドスペースを利用した見事な駐輪。たぶんそこに自転車あると車とめるとき物凄くこわいと思う。
能登 たわし
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