店頭に貼りだされた一枚の求人。印刷されたものではなく紙に手書きで直接かかれたものだ。手書き求人にはネット求人にはないドラマがある。

 

〇手書き求人にはドラマがある

アルバイトを探すときはどうするだろうか。ここを見ているほとんどの人はネットで探すと答えるだろう。しかし本当に見るべきはそこではない。インターネットの求人に生の声はまず出てこない、掲載に数万円の費用をかけ求人サイトの人間が掲載内容をチェックしているのだ。

手書きの求人の魅力は実物を見てもらえばすぐにわかると思う。

 


念のため電話番号はわからないように加工した。相手の常識に期待していいのは小学校入学前までだ。

もはや説明はいらないと思う。最近読んだ本に「デザインとは何を伝えたいのかを明確にするものだ」と書いてあったが、これはどんなwebサイトよりも伝えたいことがはっきりしている。

 


テープの貼り方にも人柄がでると思う。

別の壁にももう一枚貼ってあったのだけど、こちらは「週一日」の部分が消えていた。さきほどのものは「OK!」が消えていたし両立はできないのだろう。

もちろん貼り紙が貼ってあったのは撮影当時、正確にいつかはわからなくなってしまったけれど、数か月前のものなので現在も募集しているかはわからない。おすすめはしないが、気になる人は直接問い合わせてみるといい。

 


上野にて撮影。

もう一枚ご覧いただろう。どうだろうこの武骨な感じ。下に貼ってあるステッカーが偶然なんだろうけどいい味を出している。

ちなみにどこかの店頭ではなく街頭に貼ってあった。

 

〇手書き求人、女性募集しがち


ハッスル松。

イラストを載せられるのも手書き求人のいいところだ。これは一時期女子に大人気だったアニメ『おそ松さん』だろう。スナックと聞くとアニメから縁遠い世界に思えるが、案外そうでもないらしい。条件も35才までと私が想定するスナックの年齢よりもずいぶん低い。還暦を迎えるママを常連一同が温かく祝うのがスナックのイメージなんだけど、間違っているのだろうか。

よく見るとスナックではなくパブと書いてある。パブとスナックの違いって何?

 


美輝のことを考えるクマ。おなかが減ってるのかな。

同じお店の別の紙だ。こちらにはクマが描かれている。リラックマなのかどうかは微妙なところ。リラックスしていない状態のリラックマだとしたら判断できない。

「女の子」の文字をかわいく水玉にしているし、これを書いたママは器用で可愛らしい人だと想像できる。

 


醸し出される魅力にクラクラしちゃう。

見た瞬間『哲也-雀聖と呼ばれた男』を思い出した。阿佐田哲也の麻雀放浪記を元にした麻雀漫画のことである。

これを撮影したのはたったの一年前だ。もうすぐ平成も終わる。女性でも女の子でもなく「女」というのが気持ちいいし、ナナメになった「たのみたし」からは男気を感じる。「交通ヒ」の「ヒ」なんてアタシ身もだえしちゃう。

 


とにかくシールがあれば貼ってしまう。自分もそうなので親近感がわく。

紙ではなくホワイトボードに書かれている。上の「アルバイト募集」と下の「女性募集パートアルバイト急募」は同じことなのか、それともそれぞれ募集しているのか気になる。条件を一切書かないところも素晴らしい。とにかく募集していること以外何もわからない。しかしそれでも訪ねてきてくれる人なら間違いないだろうし、戦略として正しいような気もする。

なぜそうしたのかわからない飾り付けからも不器用だが一生懸命な人柄が滲みでている。

 

〇女だけでなく、男も牛も求められている


条件はすべて話し合いによって決められる。

求められているのは女だけじゃない。男もだ。

男の晩ごはんを作れる男が必要なのだ。

 


集めた20枚の中で一番カラフルでオシャレな求人。

ホルモン見取り図の隣に貼られていると、募集した理由を勘ぐってしまう。

 


〇募集されよ、町へ出よう

人は常に人を求めている。しかしそれを表明することは恥ずかしい。手書き求人はそんな人間の営みを可視化した素晴らしいものだ。これから町に出るときはぜひ気にして見てほしい。

町のどこかには、あなたを求める人がきっといるはずだ。

 

 
これは求人ではないけど、手書きのもの。「チャーハンは美味と思う」がチャーミング。

 


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能登 たわし

能登 たわし

ローストビーフ丼って見た目ほどおいしくない。