ハッシュタグ、使いこなせてますか?
その昔、こんなツイートがあった。
アメリカの #トランプ大統領 は、地元メディアのインタビューで、ロシアの #プーチン大統領 を持ち上げたうえで、「 #ロシアだけでなくアメリカにも多くの殺人者がいる 」などと発言したことに与党・共和党内からも批判が相次いでいます。https://t.co/iM32d59N3N
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) 2017年2月6日
NHK国際部による、「#ロシアだけでなくアメリカにも多くの殺人者がいる」という強烈なハッシュタグ。私は「どんなハッシュタグだよ」の気持ちを抑えることができず、当サイトで取り上げたことがある。
私は、社会に参画している様子を演出したいので、ツイッターを活用し、各報道機関(マスコミ)のアカウントのツイートをしっかりウォッチしているのだが、最近、つくづく思うことがある。
マスコミの人たち、ハッシュタグがへたくそすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!!
失礼。ヒートアップしてしまった。
しかし、思うのだ。
マスコミの人たち、ハッシュタグがへたくそすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!!
インターネットにおいて、マスコミ各社への風当たりはとてつもなく強い。トランプ大統領の登場に伴い、「フェイクニュース」という言葉もすっかり市民権を得た。
マスコミ各社は、その姿勢や報道内容の中立性に疑義を投げかけられることも少なくない。しかし、そんなことは今回は問題にしない。言いたいことはただひとつだけだ。
マスコミの人たち、ハッシュタグがへたくそすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!!
というわけで私は、マスコミ各社による、なんだかおかしなハッシュタグを収集することにした。私は彼らを愛着を持って「ハッシュタグへたくそ芸人」と呼んでいる。本当に愛着を持っている。本当だ。愛着を持っていなかったらもっとすごい呼び名だ。ここでは書けないようなアレだ。
持とう、愛着。
本稿ではその芸人たちによるハッシュタグを4パターンに分類し、皆様に紹介していく。なお、ニュースの内容については全く関知しないのでご了承いただきたい。
・そもそもハッシュタグが成立していないパターン
もっともクラシカルな失敗がこのパターンである。どうすればハッシュタグとして成立するのかがわからないまま、無理にハッシュタグを使用するとこうなりがちだ。
まずはツイッターのヘルプセンターを紹介しておこう。ここを見ればハッシュタグの使い方や注意点がそれなりにわかる。
……と言っても、どうせ皆様のことだから、わざわざ確認はしないだろう。どうせ皆様のことだから。簡単に説明しておくが、まず本文のあとにスペースを入力し、「#ひざかけちゃーはん2」のように書き、その後ろにもさらにスペースを入力すると、青い文字のハッシュタグとなる。このハッシュタグを付けておくことにより、ツイートが検索されやすくなるのだ。ハッシュタグを検索すれば、同じ話題について語っているツイートを見つけることが容易になる。
ちなみに以前は英数字のみハッシュタグにできたが、ツイッターのアップデートにより日本語も使用可能になったのである。
さて、それでは、ハッシュタグを成立させられなかったパターンのツイートの実例を見ていこう。
大手電機メーカーの#パナソニック は、成長が見込まれる#インド 市場で現地の消費者の好みに合わせた冷蔵庫の生産に乗り出し、白物家電で韓国メーカーが先行する中、巻き返しを図りたい考えです。https://t.co/lHlI1whva5
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) 2018年2月3日
おわかりだろうか。#(ハッシュ)の前にスペースを入れていないので、「パナソニック」「インド」の語がハッシュタグになっていないのである。それぞれの語の後ろにはしっかりとスペースが入力されているのだが、後ろだけではハッシュタグにはならない。人生は甘くないのだ。
#転職 を希望する#銀行員 の急増が話題になっています。企業アドバイザーの#津田倫男氏 が、その背景や、転職先から求められる銀行員像などを解説しています。 https://t.co/wv7eVtKA2A
— 読売新聞 就活ON! (@shukatsuon1) 2018年2月18日
ツイートの冒頭だけハッシュタグが成立しているが、「銀行員」「津田倫男氏」が失敗している。これも#の前にスペースを入力しなかったのが原因だ。冒頭だけは例外的に、前のスペースが不要になることがわかる。実例を分析し、皆様もハッシュタグ博士になろう。
#韓国#南部に建設中の#原発#について、建設を進めるか国民的な議論を行って判断する方針を政府が示したことを受けて、原発の運営会社は工事を一時中断することを決めました。https://t.co/A0y72hpLOA
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) 2017年7月14日
この失敗の仕方には恐怖を感じた。ふたつの#でくくるなどという動作は、見たことがない。前衛的すぎる。何をお手本にしたらこうなるのだ。こわい。
・余計な文字までハッシュタグにするパターン
区切るべきところにスペースを入れ忘れた結果生まれるのがこの失敗だ。妙に間延びした、不思議なハッシュタグが成立する。
【スピードスケート】男子1500メートルが終了、 #小田卓朗は5位。日本勢20年ぶりの入賞となりました。 #ウイリアムソン師円は10位、#中村奨太は24位https://t.co/MCtzUmhWjV
#平昌オリンピック #五輪— 読売新聞スポーツニュース@平昌オリンピック実況 (@YOL_sports) 2018年2月13日
選手名だけハッシュタグにしたかったはずなのに、その後の文章(ここでは順位)まで含まれてしまっている。ハッシュタグそのものとしては成立しているのだが、余計な文字が少しでも入ってしまうことにより、「ただハッシュタグという様式になっているだけで、検索が便利になるとかそういう効果はない」という存在になってしまっている。
#浅田真央さんが14年 #ソチ五輪で演じたフリーこそが、 #宇野昌磨 選手が目指した演技です。SP16位から6位まで巻き返し「とても感動しました」。身近に浅田さんの存在があってこその #銀メダル 。「人生を大きく変えてくれた」。https://t.co/aGmeJ3ruTm
— 毎日新聞 (@mainichi) 2018年2月17日
「#浅田真央さんが14年」、「#ソチ五輪で演じたフリーこそが」。そのふたつは大胆に失敗しているのに、「#宇野昌磨」と「#銀メダル」は成功している。クオリティーが不安定だ。
アルペン・ #男子大回転 で #金メダルの #ヒルシャー・マルセル 選手の滑り(18日、韓国・平昌で)=竹田津敦史撮影 #平昌五輪 pic.twitter.com/C606ZfD7hD
— 読売新聞写真部 (@tshashin) 2018年2月18日
こちらは非常に惜しいパターン。「#金メダルの」になってしまっている。1文字でも余計に入ると、ハッシュタグとしては失敗となる。「#金メダル」での検索ならたくさんのツイートを見つけられるが、「#金メダルの」になった途端、無意味だ。
余談だが、「#平昌五輪」「#平昌オリンピック」「#ピョンチャンオリンピック」などの表記揺れはすべて別のハッシュタグとして扱われる。そこは同じものとして扱ってくれないのに、「爆音」と「爆発音」は同じ語として扱うなど、ツイッターの検索機能はアホだ。
・途切れちゃったパターン
ハッシュタグとして使える文字には制約があり、一部の記号は使うことができない。それを知らずにハッシュタグにしようとしてしまったパターンだ。
世界的な衣料品専門店の #H&M が猿という英語の文字がプリントされたパーカーの広告のモデルに黒人の少年を起用し、「人種差別」などと批判が相次いだ問題。南アフリカではこの会社の衣料品を扱った店舗が襲撃されるなどの事態となっています。 https://t.co/K2o2cBtJNh
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) 2018年1月14日
こちらは&を使用することができないのを知らなかったせいで生まれた悲劇だ。1文字のみのハッシュタグになってしまっている。下ネタはやめていただきたい。
沈黙する中国反セクハラ運動、当局が「#Me Too」を封殺(字幕・31日) https://t.co/XWUn7G9k0W pic.twitter.com/aYojOZvAEi
— ロイター.co.jp (@Reuters_co_jp) 2018年2月1日
スペースは使えるわけがない。ハッシュタグと地の文を区切るためのスペースなのだから。
使える記号と使えない記号の区別はとても難しく、例えば「・(中黒、中点)」は使用できる。これはハッシュタグへたくそ芸人でなくとも難解である。記号が入る単語は無理にハッシュタグにしないのが吉だ。スペースが入っている単語を表現したいのであれば「_(アンダースコア、アンダーバー、アンダーライン)」が使えるが、それを使うとややこしさに拍車が掛かりがちで、表記揺れによる検索性の低下が起こりがちだ。
・なぜそれをタグにした? なパターン
これが最も不可解といえるかもしれない。ハッシュタグの作り方自体は成功しているのに、そのハッシュタグが「なぜこんなものを……」と言いたくなるようなものなのだ。人は、なぜ……。
冒頭に紹介した、「#ロシアだけでなくアメリカにも多くの殺人者がいる」もこのパターンだ。なぜそんなタグを作ってしまったのだろうか。謎のハッシュタグ量産SNSとしてお馴染みInstagramのやりすぎだろうか。人は、なぜ……。
実は「 #けがが思ったよりひどく て、できることを探ってきた」と #羽生結弦 選手。開き直るしかないと思って臨んだ結果は「 #漫画の主人公にしてはできすぎ なくらいの設定。こんなに幸せなことはない」https://t.co/2qdaV1AG92
— 毎日新聞 (@mainichi) 2018年2月17日
「#けがが思ったよりひどく」、「#漫画の主人公にしてはできすぎ」。当然ながら、このタグを検索しても、他に使用例はない。ハッシュタグにする必要性や意味が全くないものだ。「青い文字だし目立つぞ〜」程度の気持ちで作られた可能性も否定できない。
「勝ちたい。 #勝たなきゃ意味ない 。この試合は特に。 #これからの人生でずっとつきまとう結果なので 」。 #羽生結弦 選手の勝利への執念は並々ならぬものがありました。https://t.co/ymh2vRZ6Ra
— 毎日新聞 (@mainichi) 2018年2月17日
「#勝たなきゃ意味ない」が付いたツイートは他に3件ほど存在した。確かに、ありそうと言えばありそうだ。が、「#これからの人生でずっとつきまとう結果なので」は当然存在しなかった。するわけないだろう、そんなもの。
2月18日朝刊の #人生案内 は、夫と3人の息子の世話に #疲れた という40代の医療職女性からの相談です。 #仕事との両立 が #心身ともにつらい と…。回答は大学教授の大日向雅美さんです。
相談募集中です。投稿規定・入力フォームはこちら→https://t.co/rP0YtLYnNk
— 読売新聞 人生案内 (@jinsei_annai) 2018年2月17日
「#心身ともにつらい」。わかる。心身ともにつらいよね〜〜〜。
今回は以上となる。
マスコミの人たち、ハッシュタグがへたくそすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!!
皆様も、ハッシュタグを作るときは慎重に。
又来シュウ
最新記事 by 又来シュウ (全て見る)
- この警察署のレビューがすごい! - 2019年6月3日
- 刑事ドラマの、あの問題が気になっちゃう - 2018年4月6日
- #ハッシュタグへたくそ芸人たちに愛を込めて - 2018年3月2日