今週気づいたこと。刑事ドラマのあれ、気になりませんか?
刑事ドラマ。皆様も一度は観たことがあるだろう。テレビ朝日で放送されたり、テレビ朝日で再放送されたりしているアレだ。人が人を殺したり、人に殺されたりする。
もっとも、主役が刑事(警察官)でないものも便宜的にそう呼ばれている。私立探偵だったり、税務調査官だったり、科学捜査研究員だったりする。「ミステリードラマ」や「サスペンスドラマ」などといったニュアンスをすべて内包して、ひとことで表すのが「刑事ドラマ」だ。ちなみに税務調査官はテレビ朝日ではなくTBSだ。
「相棒」や「科捜研の女」などが連続ドラマの長寿シリーズとして有名だが、単発の、いわゆる2時間ドラマも新作がどんどん生まれている。業界は活況だ。
そして、私はそんな刑事ドラマを観ていたところ、あることに気づいた。特定のどのドラマということではないのだが、全体的に言えることなのだ。具体的に説明しよう。
例えば、Aさんが過去に悪いことをしていた。それを知ったBさんがAさんを脅して、金銭を要求した。Aさんは秘密を守るために一度は金銭を支払ったが、その後もBさんに脅され続けた。そのため、AさんはBさんを人気のない廃工場に呼び出して殺害する。
刑事ドラマでよくある事件の流れだ。私が気づいたこと、それは、「殺される理由のある人が、殺す理由のある人に、いかにも殺人事件が起きそうな場所で会ってしまう」という謎の行動が発生しがちだということだ。
繰り返すが、「特定のドラマでこういうシーンがあった」というようなレベルの話ではない。各局の刑事ドラマを観ていると、こういったシーンがまんべんなく出てくる。
廃工場でなくとも、夜中の神社(しかも転げ落ちやすそうな階段付近)やビルの屋上(しかも落下防止フェンスがない)など、とにかく事件が起こりそうな、死亡リスク満点の場所に、「他人を脅して毎月50万円を要求している」などという、バッチリ殺されそうな理由を携えて、ノコノコと現れる脅迫者。他人にゆすりたかりをしておきながら、相手が自分を殺してくるリスクを考えないとは、どういうことなのだろう。命を何だと思っているんだ!
自分が他人を脅迫する側だと仮定して、考えてもみてほしい。実際に他人を脅迫して生計を立てている人も、ひざかけちゃーはん2の読者になら少しくらいいるだろう。その金ヅルが自分を廃工場に呼び出してきたら、どう思うか。「あ、こいつは私のことを殺す気だな」となるだろう。なるに決まっている。なれ。ならないと殺されるぞ。
だいたい、廃工場に用事なんてないだろう。工場ではなく、廃工場なのだから。ラインは停止しているぞ。廃工場に呼び出されて「おい、こんなところに呼び出して何のつもりだ」などとのたまう脅迫者。危機回避能力ゼロだ。殺されるぞ。
脅迫をするのであれば、最初から反撃リスクを考慮しておくべきだ。金銭の受け渡しのための場所として、むしろ脅迫者側が人気のない場所を指定するパターンもあるが、殺されるぞ。殺人事件が起こらないような、人気がちょっとだけある場所を選ぶべきだ。人目ゼロは危ない。誰も見ていない場所だと殺されるぞ。神社の階段の近くで集合するな。突き落とされて殺されるぞ。フェンスのない屋上で密会するな。殺されるぞ!
この問題に関して、推理小説に詳しくてえらいことでお馴染み当サイト管理人に意見を求めたところ、原作たる小説ではこのあたりの呼び出し・呼び出され行動にも合理性があるものが多いらしい。テレビドラマなどの映像作品となると、小説にはない時間的制約というものが生まれてしまう。質の高い小説では事細かに描写されていても、それを映像作品に反映しようとすると、その(事件の本筋とはあまり関係ない)シーンだけで時間を浪費してしまう。それを避けるために大胆な省略がされた結果、ああいった「殺され問題」が発生するのではないだろうか。ちなみに「雑なものは本当に雑」という注釈もいただいた。小説の段階で雑なものはおそらく映像化されないだろう。
みなさまも、脅迫をする際は、殺されないように気をつけよう。
又来シュウ
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