食べ続けてみないとわからない。
おにぎりが好きだ。
私の好きな食べ物グランプリにおいて、【優勝】焼きそば【準優勝】カレーライスという二強は揺るがないが、その他のアスパラベーコンやカニ味噌などの強豪をおさえて6位入賞するくらい好きだ。おにぎりが。
毎朝通勤途中にある7のマークでおなじみのコンビニにておにぎりを2個購入し、お昼に食べるという生活を始めて早幾年だが、ただ食べるだけじゃもったいない、なにかしらの軌跡を残さねばと思い去年からおにぎりに貼られているシールを集めている。
おにぎりからシールをはぎ取ってノートに貼っていくという、左の皿の豆を箸でつまんで右の皿に移すみたいな活動をはじめて1年、計442個のおにぎりを食べた経験から得られた7つのトリビアを共有したいと思う。
ちなみに7つというのはセブンイレブンにかかっているんだよ。
■トリビア1:海苔の産地が違う
セブンイレブンにおけるおにぎりは基本「焼き海苔」と「味付け海苔」がある。
※シールのついていないおにぎりを含めるともっといろいろあるが、今回そのへんの細かいことは割愛する。
その2つ、パッケージを見てほしい。
左が焼き海苔、右が味付け海苔。違いがわかるだろうか。
上部の横書き文字を見てほしい。なんと産地の違う海苔を使用しているのだ。焼き海苔は九州有明海産、味付け海苔は兵庫県産。そのこだわり、まじかよ。そういわれれば焼き海苔からは有明の干潟に生息するムツゴロウライクな香りが漂ってくる。わけないだろ。
■トリビア2:印刷はライスインキ
おにぎりの底面を見てほしい。人間でいうと足の裏にあたるところ。
パッケージの印刷はライスインキを使用している。おにぎりだけに。
念のため他の商品のパッケージはどうだろうと、セブンイレブンプライベートブランドの食パンを見たらライスインキを使用していなかった。パンだからといってパンインキでもなかった。おにぎりだからこそのライスインキだったのだ。食べてよし、印刷してよし、糊がないときの代用としても使える粘着力。万能ネギを超える万能性に敬礼。
■トリビア3:流行りのボタニカル
そしてもう一点、さきほどの写真を参照してほしいが、焼海苔のパッケージにはボタニカルフィルムが採用されている。シャンプーやアートなど、最近生活のいろんなところにひそむボタニカル。向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのにと思うところにボタニカル。まるで棚からボタニカルだ。
なお、なぜ味付け海苔はボタニカルじゃないのかという質問に関しては、現在関係各所と緊密に連携し全力をあげて調査中である。かんたんに言うと「知らん!」ということだ。
■トリビア4:シールに隠し包丁
コンビニおにぎりの開封のしかたをご存じだろうか。
まあ日本で知らないのは叶姉妹くらいだと思うが、そのふたりのために写真を載せておく。
上のつまみを下に引くだけ。超かんたん。
上部をつまんで下に引くのだが、一見するとシール部分でぐちゃっとならないか心配になる。しかしやってみるときれいに開けられる。なんでか。
シール上部に切れ目が。隠し包丁だ!
これから使う書類をうっかりシュレッダーにかけた瞬間に気づいてギリギリことなきを得た(得ていない)ようないでたちだ。しかしこの隠し包丁のおかげでスムーズにむけるのである。職人のこだわりはつねに細部に宿る見本だ。アルバイトには任せられない業務である。
■トリビア5:ボタニカルフィルムはシールがはがしにくい
私はシールを集めているので、開封する前にシールをはがす作業がある。
そこで気づいたのだが、焼き海苔と味付け海苔でシールのはがしやすさが違うのだ。
他のトリビアは知っている人もそこそこいそうだが、これはシールをはがす者のみぞ知る極秘情報だ。その一部始終を動画に収めたので刮目してほしい。
味付け海苔はサクッとはがせるのに対し、焼き海苔は早回しして同じくらいの時間だ。実際は1分半くらいかかっている。
なぜ焼き海苔ははがしにくいのか…と考えたら前述のボタニカルのせいじゃないだろうか。ボタニカルパワーでシールの粘着力が何倍にも増加するのだ。すごい!この調子なら「仮面ライダーボタニカル」とか「植物由来戦隊ボタニカルジャー」みたいな展開になるかもしれないので心して待て!
■トリビア6:シールの形、紙質の変遷
シーズン1。コーティングされていて光を反射している。まぶしい。
シールの収集をはじめたころ(2017年1月)、シールの形は長方形の短冊形だった。紙もコート紙を使用しており、光沢がある。
それが2017年4月、社運をかけた「セブンイレブンおにぎり刷新大作戦」が実行され、より正方形に近い形になった。
念のため言っておくと、作戦名は私が考えたのでオフィシャルではないし、社運をかけたのかも不明である。でもおにぎりが全面刷新されたのは本当の話だ。
シーズン2。形は変わったが、光沢はある。まぶしい。
シール部分は開封時に負荷がかかるので、なるべくやぶれる面積を減らし、よりスムーズに開けられるように改良されたのだと考えられる。さらに今までは具の写真が見切れたレイアウトになっていたが、横幅を広くすることにより盛られた具の頂点をセンターに配置できるので、いっそう購買者の視覚に訴えるデザインになったといえるのではないか。
しかしこのタイプの政権は短かった。シールにして18枚、9日分の記録しか残っていなかった。おにぎりを買っていない土日をあわせても、せいぜい2週間といったところか。
日本でいちばん任期の短かった総理、東久邇宮稔彦王の54日をはるかにしのぐ短命っぷりだ。おにぎりシールと同じ土俵に立たされる内閣、ちょっと気の毒だな。
ちなみに読んでいてひっかかったであろう「東久邇宮稔彦王」だが、安心してほしい。私も読めない。
ややもするとその光沢は消え、マットな仕上がりのシールに変わっていた。
シーズン3。いつのまにか光沢がなくなった。もうまぶしくない。
見比べてみると、最新のマットタイプがいちばん“いいもの感”が出ていると思う。逆にはじめの短冊形はなぜかちょっと古い印象を受ける。まあその辺は個々の趣味なのでどれがいいとかではないが、誤解を恐れず言うと結局全部いいのである。われながら強引な締めだなぁ。
■トリビア7:具もマイナーチェンジしている
シールに記載されている商品名や具の写真、説明文もマイナーチェンジしている。
まずは定番、おにぎり界のサザンオールスターズこと“梅おにぎり”を見てみよう。
熟成仕立て→まるごと!→たたき梅
はじめは熟成仕立てだったのに、次は“まるごと”になった。熟成はやめてしまったのだろうか。しかも10円値上がりしている。なんてこったい!と思ったら最終的にたたき潰された。とんだDVだよと思われるかもしれないが、価格が元にもどったので、これにて一件落着である。
2番目はこちらも定番、しょっちゅうは食べないけれどもおいしいことはみんな知っている、おにぎり界のミスチルこと“おかか”だ。
ミスチルファンを敵にまわしかねない表現がありましたことをお詫びします。
しっとり仕立て→表記なし→ふんわり仕立て
おかかに関しては、“しっとり”から“ふんわり”へ移行した。さらに“おかかづくし”から“おかか”に。つくしてくれなくなってしまった。倦怠期だろうか。
どうでもいい話をつけ加えると、ふんわり仕立てって柔軟剤の香りがしてきそうでいいな。かつおぶし風味の柔軟剤。猫まっしぐらである。
最後に、わりと各社出しているけどコンビニおにぎりを食べない人には案外認知度が低い“玉子かけ風御飯”。“玉子かけ御飯風”じゃないところがミソである。
バンドに例える流れを作ってしまったのでむりやり例えると、えーと…おにぎり界のユニゾンスクエアガーデンあたりじゃないかな。
おかか入り→具たっぷり→エグロワイヤル使用
おかか入りも魅力だが、具たっぷりもいい。最終的にエグロワイヤルというちょっと高めの卵を使うところで落ち着いた。量より質を選んだかっこうだ。
もちろん間違いなくおいしい。
プレゼンは以上である。
これを機におにぎりパッケージの細部に興味を持ち、この業界がもっともっとにぎやかになれば幸いだ。
あと、セブン&アイ・ホールディングスさまにおかれましては私のnanacoカードにこっそり1万ポイント(現実的な数字!)くらい加算しておいてくれないかなという所存であります。
■おわりに
はじめはいろいろな商品に貼ってあるシールを集めるつもりだったが、おにぎりを毎日買うもんでいつのまにかおにぎりシールコレクションになってしまった。
うわさのおにぎりシールコレクション
ちなみにこの1年でいちばん食べた具はツナマヨネーズだった。その数118個。3日に1個食べた計算だ。
2017ツナマヨおにぎりを食べた数オブザイヤーにおいて1位にはなれないが、ベスト10くらいには入っているんじゃないだろうか。
「おれはもっと食べたぜ」と自負する方からのご連絡お待ちしております。

koge

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