洗剤業界。それは洗剤の業界。
ボディーソープやシャンプー、そして洗濯用洗剤に柔軟剤。各自が売上を伸ばすため、あの手この手で宣伝合戦を繰り広げている。そんな洗剤業界には、ポピュラーな宣伝手法がある。それは「ニオイに名前をつける」というものだ。
これは推測だが、ニオイに名前を付けると「〇〇の対策をしよう!」と訴えやすくなるのではないだろうか。「こういうときによく発生するこういう感じのニオイを防いで〜」とダラダラ説明するよりも、「コレを倒す!!」と強気に攻めたほうが消費者の心を掴めるだろう。
そこで、ニオイに対して効果のある商品の宣伝文句から、名付けられしニオイたちをピックアップしてみよう。
なお、その言葉が確認できるページにリンクしているため、リンク先がIR情報だったりCMギャラリーだったりする。ご容赦いただきたい。
ちなみに、画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプできる親切設計だ。
「世代臭」
洗濯用洗剤 トップ NANOX(ライオン株式会社)
「子供の靴下」「夫の枕カバー」など、世代によって特徴の異なるニオイをひとまとめにした名称、それが「世代臭」だ。
なお、現在はリニューアルされ「スーパーNANOX」となり、CMの内容も「世代臭対策」ではなく、挑戦状を送りつけられたアイドルが奮闘するものとなった。
とにかく各世代、どこかしら何かしらがくさいことがわかる。
老いも若きもくさい。くさく生まれ、くさく老いてゆくのだ。
「ミドル脂臭」
ルシード薬用デオドランドボディウォッシュ他(株式会社マンダム)
「ミドル脂臭」という独特な語が、「汗臭(あせしゅう)」「加齢臭」と並んで使用されている。
ミドル世代のくささ、皮脂のくささ、ダブルパンチだ。くさいくさい。
…いや、説明をよく読むと「ミドル男性のアブラっぽい汗のニオイ」とのことなので、ミドル(加齢)、皮脂、汗のトリプルパンチだ。くさいくさいくさい。
ミドル世代のくささは洗剤業界から狙い撃ちされがちだ。既存の「加齢臭」でくさい扱いをされ尽くしているおじさんたちに、「ミドル脂臭」という概念で追撃を与える、それが洗剤業界である。なんと恐ろしい…。
「寝起き臭」
8×4 MEN デオドラントボディウォッシュ リフレッシュ(花王株式会社)
寝る→起きる→くさい。寝る→起きる→くさい。
人類は永遠にこのループから逃れることはできないのだ。寝る→起きる→くさい。風呂に入ってなおくさい。
CMでも、くさいと言われた人が「夜、風呂入ったよ!?」と言う場面がある。風呂を過信してはいけないのだ。風呂は裏切る。人類には、風呂との関係を見つめ直す時期が来ているのかもしれない。
「オトコ臭」
柔軟剤 ハミングFine DEO EX(花王株式会社)
極めてシンプルである。男性のニオイ全部のことだ。男性は、くさい。あきらめよう。
もう、どうにもならない。さらばだ。

ニオイ、気になりますよね。名前が。
今回の記事の作成にあたり、当サイト管理人に相談したところ、徒歩2分のドラッグストアにすぐさま飛び込んで実地調査をしてくれた。都会在住のアドバンテージを見せつけられた格好だ。
私は最寄りのドラッグストアに行くには車を10分ほど運転しなくてはならない。ニオイの名前を実地調査するためだけに10分運転してドラッグストアに行く勇気はなかった。「そのうち行くか〜」という怠惰な感情は、徒歩2分マンに瞬殺されてしまった。これ以降は提供写真でお送りする。
陳列棚を見た買い物客が「あ、CMで『オトコ臭〜』ってやってるのはこれか〜」と一瞬でわかるパッケージ。これを購入すると、レジの担当者に「この人の家にくさい男がいるのか〜」と思われる可能性がある。残念ながら男性はくさい。あきらめよう。
こちらは洗剤ではなく消臭剤の、リセッシュ除菌EX デオドラントパワー(花王株式会社)。
名付けたと言うほどでもないが、体臭・タバコ・焼肉を「男のニオイ」と位置付け、「撃破」を目論んでいる。男のニオイは敵艦隊か何かか。
いまふと思ったが、タバコと焼肉は性別関係なくない?
こちらも消臭剤、ファブリーズMEN(P&G Japan)。
ニオイそのものの名前ではないが、汗・タバコ・体臭・加齢臭・焼肉をまとめたグループを「男の5大臭」と表している。「名付けた」と言ってよいかどうかの判断が個々人で分かれる微妙なラインだ。先述の「世代臭」に似ている。個人でパーフェクトが達成可能だ。「体臭」と「加齢臭」の範囲が重なっている気もする。なんなら「汗」も「体臭」のうちである気はする。
あとやっぱりタバコと焼肉は性別関係なくない?
男性にも使える。ソフラン アロマリッチ柔軟剤(ライオン株式会社)。
「逆に『男性には使えない柔軟剤』とは?」と思ったのだが、製品情報サイトを見ると、どうやらアロマリッチシリーズは「クリスティーヌ」「ダイアナ」等の名前で完全に女性向けに振り切り、男性の使用は本当に想定していないようだ。その女性向けシリーズの中でこの唯一の男性名「ロミオ」だけが「男性にも使える!」ということで、これは逆にロミオに感謝するべきなのではないだろうか。「男性なのにアロマリッチシリーズを使わせていただいてありがとうございます!」と。
さて、今回ピックアップしたニオイたちを改めて踏まえると、寝起きの40代男性がかわいそうになってくる。いま若い男性諸君も、生きていれば必ず寝起きの40代になってしまう瞬間が来るのだ。そしてそのときにタバコと焼肉を嗜んでしまうと、それはもう、目も当てられないような、なんともつらい未来である。
記事の後半は男性諸君にとって非常に厳しいものとなってしまった。私もつらい。
人間は、くさい。男性は、余計にくさい。そのことを再認識させられた。
ニオイの名前は、これからも増え続けるのだろう。この世に男性がいる限り…。
でもやっぱりタバコと焼肉は性別関係なくない?

又来シュウ

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