空のように鮮やかで見る者の心を捉えて離さないスカイブルーマンション15棟を巡った。
その名はスカイブルーマンション
去年の夏から練馬区に住み始めた。23区でもっとも穏やかで、まだあちこちにダイコン畑が残っているような土地だ。大学4年間を練馬に通っていたこともありとても居心地がいい。何より気に入っているのが安いスーパーがいくつもあるところだ。西友がちょっと割高に感じられるくらいの激安スーパーが近所にいくつかある。練馬駅近辺にある業務スーパーは100円だせば鍋いっぱいのカレーが3回つくれるくらいのジャガイモやニンジンが手に入るし、うちの近所にはいつ行っても鶏肉が100g30円程度で買える肉屋があるのだ。このサイトのメニューバーに掲載している「安いレタス」を一度見てほしい。感激して個別ページまでつくってしまった。
そんないくつかある安いスーパーのうちのひとつに大黒屋というスーパーがある。大黒屋はマンションの1階にテナントとして入っているのだけど、そのマンションの名前が目についた。「第八スカイブルーマンション」ちょっと気になるぞ。
上を向くとその名の通り天井が鮮やかなスカイブルーで塗られていた。
目を突く鮮やかなブルー。これがスカイブルーマンション。
そして第8ということは、どこかに第七も第六も存在しているということだ。なかなかすごいことではないか。どんな人なのかわからないけど、これだけ大きなマンションを8つも持っているということは相当なお金持ちだろう。練馬の主かもしれない。
この赤い配管もスカイブルーマンションの特徴のひとつだ。(第八)
スカイブルーマンション。出会ってすぐは正直言うとそれほど印象的でもなかった。今この記事を読んでいるあなたもそうだろう。それほど珍しい名前でもないし、ただちょっと青いだけのマンションはわざわざ記事にするようなものか?
スカイブルーが私に強烈な印象を残したのは出会いから1ヶ月ほどたったころだ。第八スカイブルーマンションから数分歩いたところで、新たな出会いがあった。
想像していたよりもずっと巨大な何かが練馬にはある。(第十五)
第十五スカイブルーマンション……!
これがどういうことかわかるだろうか。第十五があるということは、第十四も第十三も存在するのだ。練馬を制する青いマンション群のイメージは強烈に脳に焼き付いた。
じゃあ他のスカイブルーはどこにあるのだろう。そう思って「スカイブルーマンション」で検索した私は更なる事実を目の当たりにすることになる。
第21があるということは……。
全部探そう。そして全部の写真を撮りに行こう。決意はすぐに固まった。21個あるスカイブルーを集める旅。ドラゴンボールは7個しかないので、それよりも過酷かもしれない。しかし自分がやらなければ誰がやるのだ。
幸いスカイブルーは賃貸マンションらしく、検索すると賃貸サイトに情報が掲載された痕跡がある。部屋の詳細の情報は掲載終了しているのでわからないが、住みたいわけじゃないので実在さえ確かめられれば問題ない。
原点のスカイブルー、第八の近辺に6棟密集するように建っていて、それ以外は練馬区全域に点在している。
電車の路線はつながっていないが、自転車ならそれほど遠くもない距離だ。
「スカイブルーマンション」ではヒットしないものもあったので単語を変えて、所在地がわかったものはGoogleマップに記録していく。調査を続けていくと「スカイブルーハウス」という名称のものもあることがわかった。「スカイブルー」を称する建物は遠いところでは北海道、近いところでは渋谷区にもあったが、これらは求めているスカイブルーとはまた別のものだと判断できたので除外した。Googleストリートビューで外観を確認してもスカイブルー感はなかった。
スカイブルーとして生まれたわけではないのかもしれない
1階にテナントが入っているものは検索でヒットしやすいので探しやすかった。(第十四)
ここの眼科にはメガネを新調するときにお世話になった。(第十)
発見できたスカイブルーの中でもっとも豪華な表札。
銀色の表札はもっとも多いタイプ。(第十九)
建物自体にはあまりスカイブルー感がなかったが、表札の感じは紛れもなくそれだ。(第十三)
いくつかのスカイブルーを回るうちに、なんとなくスカイブルーについてわかってきた。おそらくその建物のほとんどがスカイブルーとしてして生まれたわけではない。つまり新築ではなく、中古で購入したものをスカイブルーに染めていったと考えられる。建物の様式があまりにバラバラなのだ。
いくつか共通する特徴は見つけることができたが、それは建物のつくりそのものではなく、外壁や屋根の塗り方、つまり後から手を加えた部分に顕著に表れている。
この鮮やかなブルーこそスカイブルーの証。(第六)
この丸ゴシックも特徴のひとつである。(第七)
アイキャッチ画像にも使用した石神井公園スカイハイツ。
青が使われているのだけど、ナンバーがないことと、
青の色合いが若干違うことからこれも仲間だと確信を持てない。
建物のデザインが違うのは、もしかしたら単にオーナーの趣味が変わっただけかもしれないし、依頼した業者が違うだけかもしれない。
練馬駅から離れているものは、ナンバーも若く、建物も小さい。名称も「スカイブルーマンション」ではなく「スカイブルーハウス」が多くなる。たとえば、元祖というべき第一は「スカイブルーハウス」だ。
本来ならスカイブルーで塗られているべき階段が綺麗なグリーン。(第一)
銀色のプレートではあるものの、二桁ナンバーとは少し毛色が違う。(第一)
天井やドアはしっかりスカイブルー。(第一)
アパートとマンションの違いに明確な基準はないが、感覚として「スカイブルーハウス」はアパート、「スカイブルーマンション」はマンションと呼びたくなる。
日当たりがよく、スカイブルーが薄くなっている。(第三)
スカイブルーハウスのあとに地名がついているのも特徴だ。
(なのでさきほどの石神井公園スカイハイツは命名の規則と合わない)
階段は青っぽい色だがスカイブルーではない。(第五)
第20とかなり新しいが、「マンション」ではなく「ハウス」と命名されている。(第二十)
このラインを見たとき、なぜは大槻ケンヂのメイクを思い出す。(第二十)
すべてに出会えるその日は遠い
スカイブルーハウス収集は2017年の8月から12月までの5ヶ月かけて行われた。しかしまだすべてのスカイブルーは回り切れていない。正確にはすべてのスカイブルーを発見できていないのだ。
ナンバーが一番大きいのは練馬駅近くにある第21スカイブルーマンションだが、21棟全ては見つけられなかった。現在の状況は下記のようになっている。
スカイブルー色は訪問済み、赤色のものが未発見。第四や第九はもしかしたら取り壊されたり売却されている可能性もあるが、比較的ナンバーの大きい第十六から第十八までが見つからないのは少し妙だ。
表札はやはり銀のプレート。(第二十一)
青い壁に赤い配管。ちょっとだけドラえもんっぽい。(第二十一)
水道メーターまでスカイブルーだと気づいたときは興奮した。(第二十一)
天井もやはりスカイブルー。(第二十一)
もっとも新しい第二十一スカイブルーマンションは「これぞ!」というべき建物だ。これまでに感じてきたスカイブルーっぽさ全部のせの贅沢な作りだ。この記事を読んでスカイブルーに興味を持った方は是非一度訪れてみてほしい。「なるほどこれか!」という納得があるはずだ。
コンプリートまではまだ遠い。しかし諦めたわけではない。まだ発見できていないスカイブルーもいずれ入居者を募集するだろう。探索を続けていれば数年以内には全てのスカイブルーに出会える日も来るはずだ。
また、「住んでた」「大家です」などの情報を持っている方がいれば連絡していただけるととても嬉しい。
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能登 たわし
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